Nobody's Perfect プログラムの概要
NPジャパンは日本で唯一のカナダ保健省公認の資格認定機関です
親が自分の長所に気づき、
健康で幸福な子どもを育てる
NPプログラム
ノーバディーズ・パーフェクト・プログラム(NPプログラム)は、0歳から5歳までの子どもをもつ親を対象に、参加者がそれぞれに抱えている悩みや関心のあることをグループで出し合って話し合いながら、必要に応じてテキストを参照して、自分にあった子育ての仕方を学ぶものです。
同じような年ごろの子どもを持ち、共通の興味や関心をもつ人々と出会うことができる安心できる場を親に提供するプログラムです。
プログラムは、10人前後のグループで、1回2時間、週1回で6~10回連続で行うことを基本にします。
研修を受けたファシリテーターが、プログラムを準備・企画・実施し、参加メンバーの話し合いと交流を円滑にすすめていく
役割をにないます。
このプログラムの目的は、親が自分の長所に気づき、健康で幸福な子どもを育てるための前向きな方法を見出せるよう手助けすることにあります。
Nobody's Perfect プログラムはあるひとつの正しい方法を親に教えるというものではありません。
また、危機的な状況や深刻な問題をかかえる家庭を対象としたプログラムではありません。
対 象
0~5歳の子どもを持つ親のうち、次のような親です。
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若い
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ひとり親
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孤立している(友人や家族が近くにいない、あるいは遠隔地に住んでいるなど)
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所得が低い、または十分な教育を受けていない
ただし、日本においては、近所に子育てについて話をする人がいないなど、「孤立している」は、乳幼児を育てている多くの親に当てはまるので、現在は0~5歳の子どもを持つ親すべてが対象となっています。
●ホームページをリニューアルしました。
プログラムのゴールと参加者の目標
プログラムのゴールは、「複数の親が集まって自分たちの生活や子ども、親としての役割について、安心して考えられる場を提供する」ことにあります。参加者は次のような目標でプログラムを利用することができます。
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子どもの健康や安全、しつけなどについて学ぶ。
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すでに持っている子育てのスキルを高め、新たなスキルを習得し練習する。
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自分の長所や能力に気づくことによって、親としての自信をつける。
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学習しながら他の親と知り合ったり、くつろいだり、楽しんだりする。
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他の親とのつながりを深め、助け合い、サポートしあえる関係を作る。
プログラムの内容
Nobody's Perfectは、テキストを教材として備えたプログラムです。
プログラムは、そのグループの参加者が知りたい事、関心がある事に基づいて、ファシリテーターが参加者の声をききながら計画します。
グループでの話し合いを中心に、参加者が楽しく効果的に、積極的にプログラムに参加しながら学べるように、いろんなアクティビティ(学習活動)が用いられます。
テキストはプログラムの核となるもので、ねらいは、親に必要な情報を提供し、子育てで直面するさまざまな悩みや問題にうまく対処できるようにすることにあります。プログラムの中で必要に応じてテキストを参照しながら、テキストを使う練習をしていきます。
実施方法
・募 集 主催する機関がプログラムの内容に応じて参加者を指定できます。
一般公募も可。
・回 数 通常1回2時間、週1回で6~10回連続。
・人 数 1グループ10人前後。
・参加費原則無料。ただし、テキストが必要。
・一時保育有り。
・スタッフ 「講師」ではなく、「ファシリテーター」がメンバーの話し合いを促進
する役割をとります。
Nobody's Perfect プログラムのあゆみ
カナダにおけるNobody's Perfectのあゆみ
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1980年、カナダ保健省と大西洋4州の保健部局により開発。
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1987年、カナダ全土に導入、実施。現在、カナダ全州・準州で実施されている。
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1997年、子育てテキストの改訂。
英語・フランス語の他に中国語・ベトナム語・スペイン語などでも出版され、視聴覚障害を持つ親のためのテキストもある。 -
2000年 ファシリテーターを養成するための研修用テキストの改訂、第3版「ファシリテーターズ・ガイド」出版。
Nobody's Perfectは、始まって以来、大きな成果をあげており、これまでに5000人以上のコミュニティワーカー、親、保健師などの人々がファシリテーターとしての研修を受け、数万人の親がプログラムに参加してきました。
カナダの各州・準州には、継続的にファシリテーターをサポートしていくためのネットワークがあります。
Nobody's Perfect は、スタート当初から、カナダの地域社会に根付いた親教育に大きく貢献してきました。親に対する人間的信頼とサポートの姿勢に基づいた「参加者中心アプローチ」は、他の多くのプログラムに取り入れられています。
日本でのNobody's Perfectのあゆみ
・1992年10月 カナダ・オンタリオ州ピーターボロでNPに出会う。
・2000年12月 オンタリオ州にて NPファシリテーター資格取得(6名)
・2002年夏、カナダからの版権を得て、親用テキストの日本語版が出版された。
・2004年4月 NP-Japan設立
(NPO法人こころの子育てインターねっと関西(KKI)、NPO法人コミュニティー・カウンセリング・セン
ター(CCC)。2005年4月 NPO法人子ども家庭リソースセンター(CFRC)が加わり、2014年12月31
日CCCは、『Nobody's Perfect Japan』規約第14条に基づき、をもって、Nobody's Perfect
Japanを退会。2015年1月1日より、2団体で新たに出発。)
・2019年度 全国プログラム数104 参加者数1100
・2020年3月までに1545名の認定ファシリテーターを輩出し、全国で活動
NPのテキスト
ノーバディーズ・パーフェクト(全5冊)
1 BODY/からだ
2 SAFETY/安全
3 MIND/こころ
4 BEHAVIOUR/行動
5 PARENTS/親
子ども家庭リソースセンター 編集
向田久美子 翻訳
1・2 加藤忠明 監修
ドメス出版 4100円+税(分売あり)
テキスト販売: NPO法人 子ども家庭リソースセンター(CFRC)
普及版~カナダ生まれの子育てテキスト~『完璧な親なんていない!』
ジャニス・ウッド・キャタノ/著
三沢直子/監修
幾島幸子/翻訳
ひとなる書房
定価 1800円+税
テキスト販売:NPO法人 こころの子育てインターねっと関西(KKI)
Feelings 子どもの感情・親の感情
子どもの気持ちにどうこたえてあげたらいいの?
カナダ公衆衛生局 著
NPジャパン 監修
幾島幸子 翻訳
遠見書房 600円+税
テキスト販売: NPO法人子ども家庭リソースセンター(CFRC)
ノーバディズ・パーフェクト「父親」
父親としての責任や怒りへの対応、パートナーとの関係など父親が直面するテーマを取り上げている。ノーバディズ・パーフェクト グループに参加した父親たちの希望で作成され、父親の視点で書かれている「誰も完璧ではない」シリーズの一冊。
ドメス出版 400円+税(送料別)
テキスト販売: NPO法人 子ども家庭リソースセンター(CFRC)
Nobody's Perfectのテキストはプログラムの核となるもので、このプログラムの柱となる基本的な情報がもりこまれています。参加者は、プログラムの間に、必要に応じてテキストを参照しながら学びます。テキストを読んで、書いてあることについてグループでディスカッションをするなど、テキストを利用してアクティビティ(学習活動)を考えることもできます。
テキストは、さまざまな状況に対して「~しなさい」という回答をのせたマニュアルではありません。
ねらいは、親に必要な情報を提供し、子育てで直面するさまざまな悩みや問題にうまく対処できるように手助けすることにあります。
テキストは、最初のもくじを見て、読みたい項目から読めるようになっています。
参加者は、プログラムの中でテキストを使う練習をし、プログラム終了後も自分で必要なところを参照し、テキストを使いこなせるようになることが望まれます。
テキストは、カナダで、親の意見をきき、また、子どもの健康・発達・安全の分野の専門家と相談しながら執筆されたものです。1977年に改訂され、その時点での最新の正確な情報がもりこまれています。楽しく、読みやすく、使いやすいように作られています。
イラストからも情報が得られ、重要なメッセージは太字で印刷され、トピックは1ページから2ページにまとめられるなど、さまざまに工夫されています。
Nobody's Perfectのテキストは、保健師、カウンセラー、ソーシャルワーカー、コミュニティワーカーなど、地域で子育て支援を行ってきた人々に加えて、先生や親なども参加して、みんなの合議のもとに作られた、というものです。それだけに、「こういうことが知りたかった」、「こういうことを言って欲しかった」と納得できる箇所がたくさんあります。
冒頭で、
「完璧な人はいません。完璧な親もいなければ、完璧な子どももいないのです。私たちにできるのは最善をつくすことだけであり、時には助けてもらうことも必要なのです。
この本もまた完璧ではありません。親としてあなたが知りたいことすべてに応えてくれるわけではありません。しかし、この本は、あなたができるだけのことをして、自分自身と子どもに対し「これでいいんだ」と思えるよう、あなたを支えていくことができるでしょう」
と書かれているように、たんに親として子どもにどう関わったらよいかという心得が書かれているだけではなく、親の心に寄り添いながら、親が親として育っていくのを支援していく、という立場で作られたものです。
それゆえ、カナダと日本の文化的な差や状況の違いはありますが、基本的にそのまま紹介しています。(日本とは異なるもの、なじみのないものなどについては、注が入れてあります。)
テキストは本来5冊に分かれているもので、カナダではプログラムの参加者に無料で配布されるものです。
翻訳テキストは、日本では、ドメス出版と、ひとなる書房の2社から出版されています。
ドメス出版のものは、カナダ版と同じ体裁をとっており5冊分冊で、カナダ版のものと同じカラーやイラストがそのまま使われています。
ひとなる書房のものは、普及版として価格をおさえ、5冊を1冊にまとめ(内容の省略は一切ありません)、2色カラーで、イラストは日本のものに変えられています。
プログラムの実施にあたっては、どちらかのテキストを使用します。
No.6の翻訳書は、2010年2月に「子どもの感情・親の感情」として、遠見書房から出版されました。
日本語版について
*関連図書
「育児するお父さん -現代パパの子育てガイドブック-」
現代の父親とは何かをわかりやすく述べ、子どもとの関係作り・
夫婦の協力、そして子どもと会えない場合の父親役割を具体的に
示している。夫婦で読んでも参考になる。
カナダ・オンタリオ州発行の翻訳版
子ども家庭リソースセンター発行 300円(税込・送料別)
テキスト販売: NPO法人 子ども家庭リソースセンター(CFRC)
*関連図書
「お父さんの育児を助けよう」(サポーティングファーザーズ)
2,500円+税(送料別)
父親支援のノウハウを凝縮した支援者向けの実践ハンドブック。父親支援をする時の具体的なヒントが満載。カナダのファミリー・リソース・プログラム協会発行の翻訳版
テキスト販売: NPO法人子ども家庭リソースセンター(CFRC)
Nobody's Perfect プログラムの基本的な考え方
1.信念 (beliefs)
Nobody's Perfect プログラムは次のようなシンプルな信念に基づいています。
・親は自分の子どもを愛し、よい親になりたいと願っている。
また、子どもが健康で幸福であってほしいと願っている
・はじめから一人前の親などいない。親は誰でも情報とサポートを必要としている。
たがいにサポートしあうグループの一員となることで、参加者は自分の長所に気づいたり、
自分に何が必要かを理解することができる
・親のニーズを満たすことは、その親が子どもの要求しているものを満たせるようになるための
大きなステップとなる。
・どの親も実際的でお金のかからない前向きな考え方や方法を求めている。
2.効果的な成人教育の考え方に基づく「参加者中心」アプローチ
プログラム内で学習する課題に直面した時の重要な考え方です。
Nobody's Perfect プログラム 実施にあたって
1.「安全・安心」「エンパワーメント」「参加」
参加者中心のグループ作りを導くものが、「安全・安心」「エンパワーメント」「参加」の3つであり、Nobody's Perfect プログラムの実施にあたっての原則となるものです。ファシリテーターは、常にこの3つを意識して大切にしながら、プログラムを実施していく必要があります。
2.柔軟である (flexible)
Nobody's Perfect プログラムは、柔軟であるようにデザインされており、参加者やプログラムの主催者の必要に合うように調整できます。
Nobody’s Perfectは、参加者の関心やニーズにこたえるものですから、プログラムも柔軟性を保つことが必要であり、実施するファシリテーターにも柔軟性が求められます。
Nobody's Perfect プログラムのキー・コンセプト
Nobody's Perfect プログラムは参加者の価値観を変えるためのプログラムでも、どうすべきかを教えるプログラムでもありません。
Nobody's Perfect プログラムには、「価値観の尊重」「経験学習サイクル」という2つのキー・コンセプトがあります。
プログラム参加者の声
完璧な人間はいない…それをもとにかんがえるようになった
「話す」ことで気持ちが楽になり、「聞く」ことで新たな発見があった。
託児したことが子どもの成長にも、親の成長にもつながった
怒りの感情は誰にでもあるもの。
それをどう表現するかが問題
一人で悩みを背負わず、
誰かにヘルプのサインを
出すことが大切!
自分の新たな一面を見つけることができ、親としての自信につながった。新鮮な気持ちで子どもと接することができるようになった
夫、親とのコミュニケーションのヒントを得た。人の話を最後まで聞くこと、気持ちを受けとめることの大切さを学んだ。(夫と子育てについての会話が増えた)